オーツ麦のベータグルカン(βグルカン)
βグルカンは、オーツ麦に特に豊富に含まれる水溶性食物繊維です。
その健康効果に関する研究が盛んに行われており、血中コレステロールの低下、血糖値の管理、消化機能の改善など、多岐にわたる健康効果をもたらすことが明らかとなっています。
さらに、美容面でも肌の保湿、抗炎症作用、アンチエイジング効果が期待されています。
参考)食品中のβグルカン含有量
出典:USDA FoodData Central, https://fdc.nal.usda.gov/
βグルカンの構造
βグルカンは、グルコース(β-D-グルコース)がたくさんつながってできた、長い鎖のようなものです。この鎖のつなぎ方にはいくつか種類があるのですが、オーツ麦に含まれるβグルカンは、特に「1,3結合」と「1,4結合」という2種類のつなぎ方が混ざっているのが特徴です。
この2種類のつなぎ方が混ざっているおかげで、水に溶けるとトロッとした粘り気が出たり、体に良い働きを示すと考えられています。
健康と美容への効果
1.コレステロール低下
βグルカンは腸内で胆汁酸と結合し、体外へ排泄することでコレステロールの再吸収を抑制します。その結果、血中コレステロール値を低下させ、心筋梗塞などの心臓病を予防する効果が期待できます。
この効果はFDA(米国食品医薬品局)も認めており、βグルカンを含むオーツ製品には「心臓病(冠動脈性心疾患)の予防効果」を製品パッケージに表示することが許可されています。
FDAは1日あたり3グラム以上のβグルカンを摂取することが、コレステロール低下のために効果的であるとしています。この量は、乾燥重量(調理前)で約70グラムのオーツ麦に相当します。
2.血糖値の管理
βグルカンは、食物の消化と吸収を遅らせることで、食後の血糖値の急激な上昇を抑えます。
オーツ麦は低GI食品(グリセミックインデックスが低い食品)であり、血糖値の安定化に貢献し、糖尿病の予防や管理をサポートします。
3.腸内環境改善
水溶性食物繊維であるβグルカンは、腸内細菌のバランスを整えるプレバイオティクスとして働きます。
具体的には、腸内の善玉菌の選択的な栄養源となり、これらの菌の増殖を促進します。善玉菌が増殖することで、腸内細菌のバランスが改善され、細菌種の多様性が高まります。
4.肌の保湿
βグルカンは優れた保湿力を持ち、肌の水分保持能力を高めます。
乾燥肌の改善や肌のバリア機能強化に役立ち、オーツ由来のβグルカンを含む保湿クリームも市販されています。
5.抗炎症効果
βグルカンには抗炎症作用があり、肌の赤みや炎症を鎮める効果が期待できます。敏感肌やアトピー性皮膚炎の症状緩和に役立つ可能性があります。
βグルカンは抗酸化作用を持ち、活性酸素による細胞のダメージを防ぎ、肌の老化を抑制します。これにより、シワやたるみの予防に効果があると考えられています。
まとめ
オーツ麦に含まれるβグルカンは、コレステロール値の低下、血糖値の管理、腸内環境の改善といった健康効果に加え、肌の保湿や抗炎症作用、アンチエイジング効果といった美容効果も期待できる多機能な成分です。
オーツ麦など、βグルカンを豊富に含む食品を日々の食事に取り入れることは、健康と美容をサポートする賢い選択肢と言えるでしょう。
βグルカンの力を借りて、健やかで充実した毎日を送りましょう。
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